スペイン家庭料理 ~冬編~

プレピレネー山脈・南麓に位置するウエスカに、少しずつ春の気配が漂ってきました。
春分の日まで一カ月を切り、スペインが夏時間へ移行する3月27日まで約1か月。
真っ暗だった冬を抜け、日も徐々に長くなっています。
ウエスカの最高気温は15度前後まで上がるようになりました。
日中のぽかぽか陽気に誘われて、広場のベンチに腰を下ろし、
おしゃべりに花を咲かせる人の姿も増えてきました。
楽しい春を迎える前に、冬に食卓を飾ったおいしいスペインの家庭料理をご紹介します。

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エンダイブのサラダ – ザクロをのせて | Ensalada de escarola con granada

冬に収穫される代表的な葉野菜であるエンダイブはサラダによく使われます。独特の苦みと歯ごたえが特徴。細かく切ったリンゴとザクロを散らし、オリーブオイル・塩・ワインビネガーで味を調えて、いただきます。

 

サルモレッホ | Salmorrejo
スペイン料理で「サルモレッホ」と言えば、コルドバの郷土料理である冷製スープ (Salmorejo) が有名ですが、ピレネー地方には「サルモレッホ (Salmorrejo) 」という似た名前の料理があります。寒い冬を乗り切るためのパワフルな一皿には、豚ロース、スペアリブ、ソーセージ、オムレツが並びます。右上の黒い食材は豚の血と小麦粉、ラードを混ぜてつくる「トルテータ」というお団子のようなもので、ウエスカ県でよく食べられる食材です。家庭によっては、白アスパラや目玉焼き、チョリソーを入れます。

 

かぼちゃのポタージュ | Crema de calabaza

クリスマス・イブの夕食の前菜です。

かぼちゃを丁寧に漉してつくったポタージュは舌触りが滑らかで、身体が温まります。

 

イシビラメのオーブン焼き | Rodaballo al horno
こちらはクリスマス・イブの夕食のメインです。2kgのヒラメをオーブンで焼いた一品。特別なソースを使わずとも素材の味だけで十分おいしいお魚でした。

 

エビ

クリスマスの前菜で登場した色々な種類のエビです。上からタイガーエビ、ランゴスティーヌ、カラビネーロ。真っ赤なカラビネーロはジューシーな食感が楽しめます。

 

色々なエビの鉄板焼き
クリスマスの昼食の前菜。エビの鉄板焼きの盛り合わせには、スモークサーモンやカサゴのパテを塗ったクラッカーが添えてあります。

 

ローストターキー | Pavo relleno

クリスマスの昼食のメインといえば、ローストターキー。前日から下ごしらえをして、クリスマス当日にオーブンでじっくり、こんがり焼き上げます。

 

ローストターキー | Pavo relleno
ローストターキーの中には、ソーセージやハンバーグの他にも、アンズやプレーン、栗が入っています。お肉との相性は抜群です。

 

トゥロンの盛り合わせ | Surtidos de Turrón

クリスマスのデザートと言えばトゥロン(ヌガー)です。クリスマス・シーズンはスパーやデパートの一画に大きなトゥロン・コーナーが設置されます。最も伝統的な味は「ヒホーナ (Jijona) 」の名前で親しまれる、アーモンドの粉で作ったトゥロンです。その他にも、チョコレート味や卵黄を使った甘いもの、ミックス・タイプなど様々な種類があります。

 

ロブスターとロシアンサラダ | Langosta con ensaladilla rusa
元日の昼食の前菜です。ロブスターの半身とロシアンサラダ。細かく切った野菜をマヨネーズで和えたサラダのことをスペインではロシアンサラダと呼びます。ポテトを潰していないポテトサラダのような感じです。

 

ビーフステーキ | Filete de ternera a la plancha

元日の昼食のメイン。スペイン料理では豚肉をよく食べますが、アビラ牛やピレネー牛など有名な牛肉もたくさんあります。

 

グーラスとエビの温サラダ | Ensalada de gulas y langostinos
公現祭の昼食の前菜。「グーラス」と呼ばれる「ウナギの稚魚もどきのスリミ」とエビをのせた温サラダです。

 

鴨のコンフィ | Conft de pato

公現祭の昼食のメイン。フランスと国境が近いためか、鴨料理もよく食べます。低温でじっくりと煮てほろほろになった鴨肉とリンゴの程よい酸味が利いたソースがおいしかったです。
ロスコン・ケーキ | Ronscón de Reyes
公現祭のデザートといえば、ロスコン・ケーキ。ふわふわのスポンジに挟まれたホイップクリームの中に小さな人形が隠れており、人形が当たった人は幸運を手にすると言われています。フランスにも公現祭に食べる「ガレット・デ・ロワ」というケーキがあるそうです。

 

アセルガとポテト | Acelgas con patatas

クリスマスからお正月にかけて、豪華な食事が続きました。休日や祝日は手の凝った料理が多いですが、平日の食事はとてもシンプルです。前菜は「アセルガ」というアラゴン地方でよく食べる葉野菜です。圧力鍋でささっと調理し、オリーブオイルとお塩で頂きます。

 

ロンガニサ・ソーセージ | Longaniza
平日のメイン。アラゴン・ピレネー地方ではお馴染みのロンガニサ・ソーセージです。

 

ウサギのアーモンドソース | Conejo en salsa de almendras

ある日曜の昼食のメイン。ウサギ肉をアーモンドソースでじっくりと煮込んだ料理です。鶏肉のようにたんぱくな味と食感で、スペインでは日常的な食材です。

 

ローストポテト | Patatas asadas
1月22日はウエスカ市の祝日です。市の第二聖人であるサン・ビセンテの日に当たるため、学校や仕事は休みです。昔からこの日にはじゃがいもを食べる習慣があります。オーブンで焼いたポテトと玉ねぎに、イワシの燻製、オリーブ、唐辛子の酢漬けを付け合わせます。オリーブオイルとワインビネガーをたらして、頂きます。

スズキのオーブン焼き | Lubina al horno

スペインでよく食べる魚といえば鱈やメルルーサ、サーモンですが、スズキ (Lubina) もよく食べます。付け合わせはスズキと一緒にオーブンで焼いた人参、玉ねぎ、パプリカ、ピーマン。

 

エンパナディーコ | Empanadico
ピレネー地域でよく食べるデザートです。エンパナーダとは一般的に詰め物をしたパイを意味しますが、アラゴンで親しまれる小辞詞である ico が付くとデザートのパイという意味になります。中に入っているのはカボチャやレーズン、松の実。クリスマスのデザートです。

ライス・スープ | Sopa de arroz

一見、何の変哲もないスープですが、魚介類でしっかりと出汁を取り、そこにお米を入れて煮たコクのあるスープです。

 

ビーフステーキ フォアグラをのせて | Filete de ternera a la plancha con foie
柔らかいビーフステーキの上に乗せたフォアグラが口の中でほろほろにとろけるご馳走でした。

トルティージャ・ケーキ | Pastel de tortilla

スペインの家庭料理といえば「トルティージャ」と呼ばれるジャガイモ入りオムレツ。薄く焼いたトルティージャを重ねてケーキにした料理です。中には、ほうれん草のトルティージャとツナとパプリカのトルティージャが挟まっています。色味が見た目にも楽しい前菜です。

 

アロス・ア・ラ・クバーナ | Arroz a la cubana
「キューバ風ごはん」を意味する家庭料理です。白いご飯の上にトマトソースと目玉焼きを乗せてできあがり。シンプルですが、子どもにも大人にも人気の一皿。

アロス・ネグロ | Arroz negro con chipirón

「黒いご飯」という意味のイカ墨ごはんです。ホタルイカがごろっと入っており、食べ応え満点の前菜です。

 

ウサギのオーブン焼き | Conejo al horno
豚・羊・牛・鶏と並んでスペインの食卓にあがるウサギ料理。スーパーや市場ではウサギの形をのこした肉が売られています。鶏肉に似たたんぱくな味が特徴で、香草と一緒にオーブンで焼きます。

 

ヒホーナ・プリン | Flan de Jijona

「ヒホーナ」と呼ばれるアーモンドのヌガーで作った手作りプリン。濃厚なプリンの味とアーモンドの香ばしさが絶妙にマッチしていました。

 

ロンガニサ・ソーセージ入りご飯 | Arroz con longaniza
アラゴンでよく食べるロンガニサ・ソーセージがごろごろ入ったパエリア風のごはん。グリーンピースとインゲンも入っています。ソーセージのうまみがお米にしっかりとしみ込んでいてペロリと平らげられます。

 

日が短い冬には、太陽が恋しくなることがよくありますが、クリスマスやお正月、三賢者の日などこの時期ならではのイベントでおいしい家庭料理を食べることがエネルギーの源になります。

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