10月中旬以降、アラゴン州内では県を跨いだ移動が原則禁止されていました。
仕事や通学、通院を目的とした移動は認められていますが、
買い物や家族に会うための移動ができないまま約2か月が経ちました。
例えば、アラゴン州のウエスカ市とサラゴサ市は異なる県に位置しているため、
ウエスカ市からサラゴサ市へ移動することはできず、
車で1時間という近距離に位置しているものの、
気軽に家族や親戚に会いに行くことができませんでした。
そのような状況のなか、アラゴン州政府は、クリスマス期間と年末年始の期間限定で、
特別に県を跨いだ移動を認めました。
クリスマス・イブ(Noche buena:ノッチェ・ブエナ)のウエスカ市内は、
マスクをした人びとで静かに賑わっていました
ウエスカ市内にある三つの大きな広場のうちの一つである「ナバラ広場」。
噴水にはツリーを模した電飾が輝いています。
その奥に建つのは、昔はカジノとして使われ、
現在はレストランや喫茶店が入っている市民の憩いの場です。
「Felices Fiestas(ハッピー・ホリデー)」の飾りが輝くバルコニー。
今年の学校のクリスマス休暇は12月23日~1月6日までです。
日本の冬休みに当たります。
スペインにはお正月休みがないため、仕事は1月2日から始まります。
ナバラ広場と旧市街を結ぶ「ガリシア通り」。
商店やカフェテリアが立ち並ぶ賑やかな通りです。
ウエスカ県庁が位置する通りでもあります。
「ガリシア通り」を旧市街へ進むと「Cuatro Esquinas(四つ角)」の愛称で親しまれる十字路に出ます。
左右に延びる「コソ通り」は旧市街を取り囲む環状通りで、中世に城壁が建っていた場所です。
「コソ通り」から旧市街に足を踏み入れ、緩やかな坂道を進みます。
二つ目の広場が見えてきました。
大きなクリスマス・ツリーが色を変えながら光っています。
二つ目の広場は「メルカード広場」の愛称で親しまれる「ルイス・ロペス・アジュエ広場」です。
かつてここには市場がありました。
薄いピンク色の外壁と深緑に塗られたバルコニーを持つ建物に取り囲まれています。
寒い日でもテラス席は賑わっています。
「メルカード広場」から旧市街の心臓部へと更に進みます。
切り石やレンガがむき出しになった古い建物が多くなり、
登り坂の傾斜が徐々に増します。
坂を登り切ると三つ目の広場に出ます。
「カテドラル広場」です。カテドラルとは大聖堂という意味です。
市内で最も標高の高いこの場所に大聖堂が建っています。
ウエスカの町はこの丘を起点に発展しました。
2000年を超える歴史の中で、様々な文化がこの広場に足跡を残していきました。
例えば、この大聖堂が建っている場所には、約千年前には当時の統治者であったイスラム教徒の寺院が建っていたのです。
その後、国土回復運動の中でキリスト教徒建築へと姿を変え、現在に至ります。
要塞のような外観とは打って変わり、堂内は品のあるゴシック様式で飾られています。
スペインを代表するルネサンス彫刻家であるダミアン・フォルメンが手がけた中央祭壇の衝立装飾は圧巻です。
「カテドラル広場」から坂道を下り、再び「コソ通り」へ。
静かな旧市街地から環状通りへ出ると、人通りが一気に増します。
洋服屋、薬局、靴屋、郵便局、カフェテリアなどが集まっており、
ウエスカで一番賑わう通りの一つです。
この通りにはウエスカを代表する菓子店があります。
ASCASO(アスカソ)は1890年創業のお菓子屋さんです。
ウエスカだけでなく、同州のサラゴサやマドリッドにも出店しており、根強い人気を誇ります。
スペインのクリスマスといえば、トゥロン(ヌガー)です。
道行く人は店の前で足をとめ、色々な種類のヌガーが並べられたショーウィンドーをのぞいていました。
スペインでは普段の夕食は軽めにすませますが、クリスマス・イブはフルコースで楽しみます。
前菜はかぼちゃのポタージュ。大きなひょうたんのような形をしたかぼちゃは程よい甘味があります。
メインはイシビラメ(Rodaballo)のオーブン焼きです。
しっかりとした身と繊細な甘味が楽しめました。
明日はいよいよクリスマスです。