キリスト教の聖人カレンダーでは、聖ヨハネの日(6月24日)の前日です。本来であれば、夏休みを控えた若者たちが公園やビーチに集まり、たき火を楽しむ日です。夏至が訪れたばかり、これから益々日が長くなります。夏休みの始まりを盛大に祝う日なのですが、コロナの影響で今年はそうもいきません。
スペインでは6月19日に警戒事態が解除され、国内移動ができるようになりました。「バカンスへ行こう」と意気込みたいところですが、「家計への不安から、スペイン人の7割はバカンスに消極的」とニュースが伝えています。今年から、休暇の楽しみ方が大きく変わりそうです。
ウエスカから車を小一時間走らせ、ピレネー山脈へ行ってきました。市外に出るのは約3か月ぶりです。準ピレネー山脈を越える手前でガソリンスタンドへ立ち寄ります。自家製カップケーキが人気のカフェテリアは、いつもの賑わいはなく、車は一台も停まっていません。休業中なのでしょうか。
モンレポス峠を越えて、ピレネーを目指します。峠にある貯水湖は、雪解け水と春先の大雨で満杯でした。初夏が訪れた証拠です。昨年、新たに開通したトンネルも交通量はまばらです。トンネルを抜けると、ピレネー山脈が見えてきました。目指すはテナ渓谷です。
今年の春は雨がよく降りました。外出制限の間は、窓越しにザーザー降る雨をよく見たものです。そのおかげか、緑が元気に茂っています。すごいエネルギーです。
テナ渓谷には二つの大きな貯水湖がありますが、どちらにもたっぷりと水が貯まっています。ピレネーの中でも比較的交通量の多い谷は、厳戒事態が解除されて間もないためか、車の往来が少なく静かです。国境があるポルタレット峠まで一気に北上します。
ポルタレット峠も閑散としています。フランス人ハイカーが二人、自転車ツーリングする男性が一人、バイクツーリングをする人がちらほら。峠のお店も開いているところはまばらです。中央ピレネーの名峰のひとつ、オッソー峰だけはいつもと変わらず、口を開けて、のんびり空を眺めています。標高1794mの峠の周りでは、小さな花々が見ごろを迎えています。
来た道を引き返し、この辺りで一番大きな町であるサジェント・デ・ガジェゴへ。リフォーム中の家がたくさんあります。避暑用のセカンドハウスの手入れでしょうか。人の少ないピレネーは、寂しくもあり、美しくもあり。自然は以前と変わらず綺麗なままでした。