警戒事態が解除されて、約1か月。スペイン国内では、少しずつ日常が戻り始めました。地域的には感染の再拡大が発生しているため、油断はできません。
地中海へやってきました。カタルーニャ州はタラゴナ県の港町、カンブリルスです。この辺りには、カンブリルスを含め、サロウやコマ・ルーガ、カラフェルなど、有名なビーチ・リゾートがたくさんあります。金色に輝く砂が混じっていることから、スペイン語でコスタ・ドラーダ(黄金海岸)と呼ばれています。
夏が来ると内陸に暮らすアラゴンの人びとはビーチを求めてこの地域へ「引っ越して」きます。州都サラゴサから車で約2時間半走ると、温暖で晴れやかな地中海が見えてきます。ここで一年の疲れを癒します。この地域にセカンドハウスを持っている人も少なくありません。スペインの人びとにとって、ビーチ・海・日光浴・バカンスはエネルギーをチャージするための魔法の言葉です。
今年は、例年に比べると、人が少ないようです。普段は人でごった返している目抜き通りも今年は歩きやすく、普段はパラソルが所狭しと並ぶビーチもパラソルが点在するだけです。
カンブリススから12㎞の距離には、ここ近隣で最も大きな街であるレウスがあります。建築家ガウディの生まれ故郷であり、蒸留酒の生産地として一時はカタルーニャ第二の都市として栄えた町です。レウスには小さな空港があり、国内線・欧州線が発着します。しかし、今年はヨーロッパからのバカンス客も少ないことでしょう。カンブリルス市内の路肩には、フランスやベルギーの車が数台停まっていたので、車でやってくる人は少なからずいるようです。いずれにしても、閑散とまではいかないものの、バカンスシーズンとは言い難い光景です。静かな浜辺でゆっくり過ごしたい人にとっては嬉しいことですが、地元の観光業への打撃は計り知れません。
バカンスの過ごし方はシンプルです。午前中はビーチでのんびり日光浴や海水浴。14時ごろに昼食をとり、シエスタ(昼寝)をする。17時から午後の活動がスタート。外は一番暑い時間帯のため、屋内で読書もしくはプールやビーチへ。19時頃から気温が下がり始めるので、街に出てぶらぶらしたり、買い物をしたり、散歩をします。それだけです。
晴天ですが、地中海から吹くそよ風のおかげて暑すぎず、からっと乾いていて、過ごしやすい天気です。連日35度を超える酷暑が続くウエスカを思うと、アラゴンの人びとがビーチを求めてここまでやってくる気持ちがよく分かります。
地中海に面した町の魚屋さんには、新鮮な魚が並びます。マトウダイ、ヘダイ、スズキにカサゴ。アンコウ、ヒラメ、イワシなど、どれも獲れたたばかりです。調味料はオリーブオイルと塩だけで、2.8㎏の天然のスズキをオーブン焼きでおいしく頂きました。
今が旬の桃、ネクタリン、パラグアージョは果肉がしっかりとしていて程よい甘みが楽しめます。スペインの「漬物」であるオリーブの実は、色々なバリエーションがあり、量り売りです。
20時を過ぎたころ、日が沈んでいきます。日の出は6時半頃、日没は21時半頃。夕方の散歩をしながら、長い一日を締めくくります。
今年も、スペインの人びとはバカンスへ出かけます。できる限り家族みんなで、安心・安全だと自負する方法で、近場でも遠方でも、一年の疲れを洗い流し、新しい一年を始めるために、各々の楽しみ方でバカンスを過ごします。