北スペインの自然
Naturaleza del Norte de España
スペインの自然景観と言えば、荒涼とした大地や、青い空に映えるひまわり畑、風車小屋が点在する丘陵地帯が思い浮かびます。
アンダルシアやカスティーリャ地方に代表されるこれらの風景は、確かにスペインを代表する景観です。しかし、日本の 1.3 倍の国土を持つスペインには、更に多様な自然景観が広がっています。
北スペインには、スペインの中でもここでしか出会うことのできない景色があります。地中海、ピレネー山脈、大西洋、カンタブリア山脈、エブロ盆地の中に、山岳地帯、平原、ブドウ畑、砂浜、丘陵地帯、山地、リアス式海岸が混在し、融合しているのです。
マイナーだけど面白い、北スペインの自然探訪の旅へ出かけましょう。
- 北スペインの自然
- オルデサ国立公園
- ピコス・デ・エウロパ国立公園
- ガリシア大西洋諸島国立公園
- 自由に選ぶ旅
北スペインの自然
スペインには、海、山、平原、川、砂漠などからなる様々な自然景観が共存しています。国土は日本の 1.3倍、EU ではフランスに次いで二番目に広い国です。面積の 4 分の 1 以上が自然保護区に指定されていることからも分かるように、スペインは貴重な自然環境と生態系を内包しているのです。
スペインが「文化の十字路」と称される所以はその地理的条件が大きく関わっています。2 つの海と 2 つの大陸に囲まれているため、様々な民族や文化が陸と海を渡り、次々にイベリア半島へと入ってきました。東は地中海、西は大西洋、南はアフリカ大陸、北はヨーロッパ大陸に囲まれたスペインは、これらの海や大陸から気候の影響を大きく受けています。
気候
スペインの気候は、「湿潤スペイン」と「乾燥スペイン」の二つに大きく分けることができます。
「湿潤スペイン」は、降水量が多く温暖な気候が特徴で、北スペインを中心に見られる気候です。
「乾燥スペイン」は、雨が少なく、年間を通して気温差が激しい中央部から南部にかけてみられる気候です。
内陸の地形
メセタと呼ばれる高原台地が内陸部の大部分を占めています。マドリッド周辺やカスティーリャ地方の広大な耕作地帯や平原に代表される風景です。メセタの特徴は標高が高いことです。首都マドリッドは標高 667m に位置し、スペイン全体の平均標高は 660m です。そのため、あまり知られていませんが、スペインは、ヨーロッパの主要国の中では、平均標高 1,340m のスイスに次いで平均標高が高い国なのです。
この高原台地に切り込みを入れるように連なる山脈や山地が複数あることも、スペインの地形の大きな特徴です。あまりイメージができませんが、スペインの地形は起伏に富んでいるのです。北スペインでは、フランスとの国境になっているピレネー山脈や、北スペインと内陸スペインの間に連なるカンタブリア山脈が代表例です。
沿岸部の地形
イベリア半島を取り囲む全長約 5,000 kmに及ぶ海岸線もまたスペインを特徴づける地形です。地中海と大西洋の恵みを享受した美しい海の風景が広がります。北スペインでは、地中海に面するカタルーニャの沿岸部や、大西洋に面したグリーンスペインの海岸線、ガリシアのリアス式海岸が有名です。
北スペインの特徴
それでは、北スペインの自然景観にはどのような特徴があるのでしょうか。ひとくちに北スペインと言っても、東西の直線距離は 900 km を超え、東京―札幌間以上の距離があります。そのため、実に多様な自然景観があることが容易に想像できるのですが、それを前提に、北スペインの自然景観の 3 大要素をまとめると、このようになります。
● 北スペインの大部分が比較的降水量の多い湿潤スペインに属する。
● 内陸部の地形を象徴するピレネー山脈とカンタブリア山脈という 2 つの大きな山脈が連なっている。
● 地中海と大西洋の海岸線に囲まれている。
北スペインの景勝地
海・山・水に象徴される北スペインは、どこへ行っても、どんな道を歩いても絵になる風景が広がっていますが、その中でも、景勝地、アウトドアスポーツの中心地ともいえる国立公園をご紹介します。
スペインには 15 か所の国立公園があります。イベリア半島では、北はピレネー山脈から、南はシエラネバダ山脈まで。海を跨いで西はバレアレス諸島から、遠く離れたカナリア諸島まで、まさに全国各地に国立公園が点在しており、貴重な自然景観や生態系の保存活動が行われています。
北スペインには、4 か所の国立公園があります。北西の大西洋に浮かぶ島々、グリーンスペインにおける生態系の源であるカンタブリア山脈、スペインとフランスの国境であるピレネー山脈が舞台です。
● オルデサ国立公園(ピレネー山脈・アラゴン州)
● ピコス・デ・エウロパ国立公園(アストゥリアス州、カンタブリア州)
● ガリシアの大西洋諸島国立公園(ガリシア州)
● アイグェストルテス国立公園(ピレネー山脈・カタルーニャ州)
オルデサ国立公園
どこにあるの?
どんなところ?
オルデサ・イ・モンテぺルディード国立公園は、フランスとの国境を成すピレネー山脈の中央部に位置しています。標高の高い名峰が集う中央ピレネーの中でも、特に人気の高いエリアです。
スペイン国内でいち早く国立公園に登録された地域であり、ピコス・デ・エウロパと並んでスペインで最も長い歴史を持つ国立公園です。ユネスコの世界遺産にも登録され、ヨーロッパを中心に世界中から自然愛好家やハイカーが訪れます。
国立公園の目玉は、ピレネー山脈で 3 番目に標高が高く、国立公園内の最高峰であるモンテ・ペルディード山 (3355m) です。スペイン語で「モンテ」は山、「ぺルディード」は失われた、迷子になったという意味があります。眺める角度によって、峰が現れたり消えたりするため、このような名前が付けられたと言われています。「モン・ペルジュ」というフランス語名がついていることからも分かるように、ピークはスペインに位置していますが、斜面の大部分はフランスに位置しています。
モンテ・ペルディード山とこのピークから派生する 4 つの谷から構成されるのが、オルデサとモンテ・ペルディード国立公園です。その中で最も有名な谷が U 字の谷であるオルデサ圏谷です。石灰岩の山々を氷河や水が浸食しながら長い年月をかけて生まれた景観は、天然の彫刻のような迫力があります。標高 2000m を超える岩壁に挟まれた谷では、エーデルワイスやアルペンローゼなどの高山植物やマーモットやシャモアなどの動物、ブナ林、川、滝などを鑑賞することができます。
何ができるの?
● ハイキング・国境超え
● 高山植物の鑑賞
● 景色の鑑賞
● 動物観察
● 標高 2000m をゆく専用車での眺望ルート
● 山小屋での宿泊
ピコス・デ・エウロパ国立公園
どこにあるの?
どんなところ?
ピコス・デ・エウロパ国立公園は、大西洋と平行するように、北スペイン全域に連なるカンタブリア山脈の中央部に位置する、ピコス・デ・エウロパ山塊から成ります。アストゥリアス州、カンタブリア州、カスティーリャ・イ・レオン州 (レオン県) の 3 州にまたがり広がっています。ヨーロッパを目指してアメリカ大陸からやってきた船から、最初に見える山塊であったことから「ヨーロッパの峰々」と呼ばれるようになったと言われています。牧歌的な風景と山頂から見える海の眺望を持つことから「海の見えるスイス」と称されることもあります。
1918 年にオルデサ・イ・モンテペルディード国立公園とともにスペインで初めて国立公園に登録された歴史を持ち、スペインに 15 か所ある国立公園の中でも不動の人気を誇っています。2017 年の年間訪問者数は 200 万人を超えています。ナランホ・デ・ブルネス峰やコバドンガ湖は代表的な景勝地です。
国立公園は、東山塊、中央山塊、西山塊の 3 つに分かれています。氷河と水によって浸食された石灰質の山塊には、トーレ・セレード (2650m) を頂点に、圏谷、尾根、峡谷、渓谷、山上湖、カルスト地形など多様な景観が、標高や傾斜の強弱を付けながら雄大な山並みを作り出しています。海洋性気候の影響を受けたオークやブナの森、アルペン・ローズやゲンチアナ、スミレなどの高山植物、イヌワシ、ヒゲワシ、シャモアなどの動物相など、固有の生態系を保護する目的で、ユネスコの生物圏保護区に指定されています。
自然景観や固有の生態系と同じようにこの地の魅力となっているのが、谷ごとに豊かに表情を変える山麓の村々です。人びとの暮らしとともに育まれた伝統や、コバドンガの戦いに代表される歴史にも是非触れてみてください。
何ができるの?
● ハイキング
● 高山植物の鑑賞
● 景色の鑑賞
● ロープウェイで登頂
● ケーブルカーで山奥の村にアクセス
● 山小屋に泊まりながらの縦走
ガリシア大西洋諸島国立公園
どこにあるの?
どんなところ?
ガリシア大西洋諸島国立公園は、ガリシア州南西部の大西洋沖に浮かぶ4つの群島 (シエス群島、オンス群島、サルボラ群島、コルデガラ群島) から構成されています。これらの島々は、ガリシアに数多ある入り江の中でも、特にダイナミックな景観が楽しめる3つの入り江沖に集まっています。2002 年に国立公園に指定された、スペインの中では比較的新しい国立公園です。
ローマ時代に「神々の島」と称されたシエス群島は、ビーゴ入り江の沖に位置する、国立公園の中で最も有名な群島です。ガリシアを象徴する花崗岩の絶壁がコバルトブルーの大西洋に聳えています。古くは海賊の住む島として知られていましたが、現在、人は住んでいません。ガーディアン紙により世界で最も美しい砂浜と称されたロダス・ビーチには、きめ細かい砂と透明な海水がきらめき、三日月の形をした浜の周りには青松の林が広がっています。島固有の植物相を眺めながら、島の頂上に建つ灯台へのハイキングを楽しむことができます。
シエス諸島から 17 km、ポンテベドラ入り江の沖には、オンス群島が浮かんでいます。なだらかな丘陵が広がる東海岸には小さな村や漁港が点在し、大西洋に面した西海岸には波に浸食された岩壁や洞窟がごつごつとした海岸線を引いています。今なお、人びとの暮らしと自然が共存する島です。シエス群島とオンス群島へは夏季のみ、周辺の港町から小舟やフェリーでアクセスすることができます。
オンス諸島から 14 km、ガリシア最大の入り江であるアロウサ入り江の入り口にサルボラ群島は浮かんでいます。起伏の少ないサルボラ島の最高標高は 75m 程度です。その周りには岩場が目立つ小島、砂浜が広がる小島、風化して丸みを帯びた花崗岩の巨石が転がっている島など、個性豊かな島に囲まれています。アロウサ入り江を内部には、コルデガラ群島が位置しています。起伏の少ない島の表面は柳や松、月桂樹の森に覆われ、青い海と美しいコントラストを生み出しています。
冬を中心に島を訪れるキアシセグロカモメ、ヨーロッパヒメウ、ヒメウミツバメなどの海鳥や、目を見張るばかりの貴重な海洋生物が生息地としても有名です。
何ができるの?
● 海に囲まれた島ハイキング
● 花の鑑賞
● 景色の鑑賞
● 海水浴
● キャンプ
● 小舟で入り江クルーズ
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