はじまり

エン・デスティーノは、2012 年にアラゴン州ウエスカ市に誕生した旅行会社です。

ウエスカ市は、スペイン北東部ウエスカ県の県都です。人口は 5 万人ほどで、スペインに 52 か所ある県庁所在地の中で、下から 4 番目に人口の少ない町です。静かな町は豊かな牧草地帯や耕作地帯に囲まれ、春には新緑の草原のような美しい景色が広がります。

ウエスカ市から車で 30 分ほど北上すると、フランスとの国境を成すピレネー山脈が姿を現します。地中海から大西洋まで、東西 430㎞ に渡り連なる、スペインを代表する自然の宝庫です。ウエスカ県が位置する山脈中央部には、ピレネー最高峰のアネト峰 (3404m) を筆頭に、2000m ～ 3000m 級のピークが集まっています。広大なピレネー山脈の中でも特にダイナミックな景色が広がる地域です。更に北上し、国境を越えたあたりで、雨のよく降るフレンチピレネーの湿潤な風景が旅人を出迎えます。スペインとフランスの対照的な自然景観をまとめて訪ねることができる、魅力的な地域です。

ウエスカ市の東隣には地中海が煌めくカタルーニャ州、西隣りには野菜畑が広がるナバラ州や、ブドウ畑が広がるリオハ州、その先には大西洋に面した美食の宝庫バスク州が位置しています。南には、ウエスカ県と同州に位置し、州都として栄えるスペイン第五の都市サラゴサ市が位置しています。ウエスカ市は内陸に位置しているものの、北スペインや南仏へのアクセスの利便性が高い地域です。

そんなウエスカ市を拠点に、創業者であるマリア・スーシンは幼い頃から旅へ出かけました。セマナ・サンタ (聖週間) の休暇や連休、夏のバカンスを利用して、家族・親族でスペイン国内やモロッコ、エジプト、フランス、オランダ、ベルギー、マルタ島などの近隣諸国を訪ねました。新しい発見に満ちた体験の連続が、旅を好きになる原点、そして、後に旅行会社を設立する原点となっています。

スペイン最大大手旅行会社やマルタ島の現地旅行会社での勤務後、マドリッドのマスターコースで会議・イベント運営を学ぶなど、スペイン国内外で企画・運営・販売など様々な角度から観光業に携わりました。

これらの経験を通し、地元アラゴン州、ウエスカ県、ピレネー山脈にも、素晴らしい文化遺産が眠っているにも関わらず、発信されず、埋もれていることを実感します。これらの「隠れた」魅力を伝える旅づくりを目指し、2012 年ウエスカ市に旅行会社エン・デスティーノを立ち上げました。

地域密着の旅行会社として

2012 年に創業したエン・デスティーノは、地域密着型の旅行会社として事業を始めました。

アラゴン州を中心に集客を行い、スペイン国内外の旅行を企画・実施しました。地元ウエスカ県のオルデッサ国立公園や隣接するナバラ州のイラティの森でのハイキング、アラゴン州のムデハル建築群を巡る日帰り旅行など、定番コースから地元民でもあまり知らない観光地まで、様々な角度から旅づくりにアプローチします。

スペイン国外では、トゥールーズ、ローマとナポリ、ロワール城とパリ、ブダペスト、ノルウェー、クロアチア、ポルトガルなどの欧州諸国へのツアーをはじめ、イスタンブール、モロッコ、日本といったヨーロッパを飛び出したツアーも実施しました。観光ツアーに留まらず、ウエスカ県の農業関係者とともに、イギリスや中欧諸国、フランス、フィンランド、イタリアへの視察旅行の企画・実施も行ってきました。その他にも、プロジェクトエンジニアリングの学会やウエスカ国際短編映画祭などのイベント運営にも携わります。

2015 年からは、ウエスカ市観光ツアーの運営を受託し、欧米からのインバウンド事業に携わります。地域密着かつ多角的な活動を通じて、時間をかけて実績を積み重ね、アラゴン州の中で着実にネットワークを広げました。

2014 年からは、日本からのインバウンド事業を開始。ピレネー山脈を中心に始めた事業は、アラゴン州、北スペインへと手配エリアを着実に広げてゆきました。日本には届きにくかった新たなデスティネーションの提案を通して、新しい価値を創造し、スペインと日本の架け橋となる企業活動を展開していくことを目指しています。