ガリシア
Galicia
サンティアゴ巡礼路が辿り着く地
スペイン最西端のガリシアには、サンティアゴ巡礼路を歩き、世界中から旅人たちがやってきます。目指すは、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラです。ガリシア州の首都にして、キリスト教三大聖地のひとつである街には、高い塔が目印の大聖堂が建っています。
大西洋に囲まれた海岸線沿いには、複雑に入り組むリアス式海岸がどこまでも続いています。入り江には町や漁村が点在し、旨みと甘みが評判の牡蠣やムール貝、ホタテの養殖が盛んです。
内陸部の丘陵地帯には、小川や牧草地帯、耕作地帯が広がっています。酪農が盛んなガリシアのチーズには、土地によって様々な違いがあります。
スペインのイメージとはひと味違う、どこかノスタルジックで懐かしい雰囲気の漂うガリシアを旅しましょう。
- 基本情報
- ガリシア見どころ6選
- 自由に選ぶ旅
ガリシア
ガリシアはスペインに 17 ある自治州の一つです。イベリア半島の北西部に位置しており、ア・コルーニャ県、ポンテベドラ県、ルーゴ県、オウレンセ県の 4 県から構成されています。日本では聞き馴染みのない地名ばかりですが、州都はキリスト教三大聖地の一つである、サンティアゴ・デ・コンポステーラです。
ガリシアの地形は、大西洋沿岸部と内陸部に大きく分けることができます。太平洋沿岸部では、リアス式海岸の語源になった入り江 (スペイン語でリア) が複雑に入り組む景色が続いています。淡水と海水が混ざることにより養分の豊富な好漁場が生まれ、牡蠣やムール貝の養殖が盛んです。スペインでは「魚介類といえばガリシア産」と称されるほど、高品質な海の幸の生産地として知られています。
リアス式海岸の北部 (リアス・アルタス) には、ア・コルーニャ県が位置しています。州都サンティアゴ・デ・コンポステーラが位置する他に、ガリシア第二の人口を誇る県都ア・コルーニャ市があります。世界遺産ヘラクレスの塔や伝統家屋が並ぶ港周辺が見どころです。県北部には、ガリシア第二の聖地といわれるテイシド村のサン・アンドレ礼拝堂が大西洋を望む崖上に建っています。
リアス式海岸南部 (リアス・バッハス) には、ポンテベドラ県があります。ガリシアで最大人口を誇るビーゴ市が、入江を形成するなだらかな斜面に坂の街を形成しています。スペイン最大の港湾都市は活気に満ち、露店で売られる新鮮な牡蠣は絶品です。沖には自然の楽園シエス諸島が浮かび、ビーゴからフェリーで日帰り旅行をすることができます。その他にも、小さな港町や先史時代の居住跡(カストロ)を訪ねたり、ポルトガルへの旅行なども楽しむことができます。
内陸部には、平野と山地が豊かな起伏を描くルーゴ県があります。県都ルーゴ市には、世界遺産であるローマ時代の城壁が旧市街地を完全に囲む状態で残っています。サンティアゴ巡礼路で有名な村も多く、隣接するアストゥリアス州やカスティーリャ・イ・レオン州とあわせて旅ができます。
内陸部南部に位置する、オウレンセ県も起伏に富んだ自然豊かな地域です。「聖なる流域」を意味するリベイラ・サクラ地方は必見です。蛇行するシル川とミーニョ川が形成した峡谷では、急勾配の斜面を利用したローマ時代から続くブドウ栽培が行われ、オークや栗の森、点在するロマネスク建築が独特の風景をつくり出しています。温泉の町として知られる県都オウレンセで旅の疲れを癒すのも良いでしょう。
基本情報
人口|約 270 万人 (第5位 / 17 自治州)
面積|29,575 km2 (第 7 位 / 17 自治州)
県|ア・コルーニャ県、ポンテベドラ県、ルーゴ県、オウレンセ県
州都|サンティアゴ・デ・コンポステーラ
アクセス
サンティアゴ・デ・コンポステーラ
サンティアゴ空港|国内、欧州
列車|マドリッド、サン・セバスチャン、エンダイア、バルセロナ、ビルバオ、ポルトガルなど
ア・コルーニャ
ア・コルーニャ空港|国内、欧州
列車|マドリッド、ビルバオ、バルセロナ
ビーゴ
ビーゴ空港|国内、パリ
列車|マドリッド、バルセロナ、ビルバオ、ポルト、など
オウレンセ
列車|マドリッド、サンティアゴ、ア・コルーニャ、など
ガリシアの見どころ6選
見どころ1 聖地ガリシア
ガリシアといえば、サンティアゴ巡礼路です。サンティアゴとは、イエス・キリストの 12 使徒の一人である聖ヤコブのスペイン語名です。9 世紀に聖ヤコブのお墓が発見され、教会が建てられた場所がガリシアでした。当時のスペインは、キリスト教徒とイスラム教徒が領土をめぐって争う「国土回復運動」の真っただ中にあったため、聖ヤコブはキリスト教徒を団結させるためのアイコンとして政治、宗教、美術を通して社会に浸透していきました。聖地の存在は次第にヨーロッパ中に知られることとなり、スペインはもとよりフランス、イギリス、ポルトガルからも多くの巡礼者がサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩きました。こうして生まれたのがサンティアゴ巡礼路です。聖ヤコブのお墓の上に建てられた小さな教会は増改築を繰り返し、現在では巨大な大聖堂へと変貌を遂げています。簡素で趣のあるロマネスク様式の彫刻や大香炉を使うミサ、巡礼者たちが絶え間なく訪れる聖堂内はスペインで最もエネルギーに満ちた場所であり、今なお人びとを繋ぐ生きる建築物です。
見どころ2 ガリシアの都市
ガリシアには魅力的な都市がたくさんあります。州都サンティアゴ・デ・コンポステーラはキリスト教の聖地であるだけでなく、ユネスコの世界遺産都市に登録される街です。旧市街地に足を踏み入れるとその理由がすぐに分かるはずです。美しい花崗岩でつくられた建物やポーチ、石畳の道、街の歴史を写し出す道の名前、市民や巡礼者の憩いの場である大小様々な広場、活気のある市場、荘厳な大聖堂がこの街にしかない風景をつくり出しています。雨の日のしっとりとした旧市街も趣があります。
リアス式海岸南部、ガリシア最大の人口を誇るビーゴは、大きな入り江に面した坂の街です。旧市街の露店では、街の特産品である新鮮な牡蠣が売られています。紀元前にビーゴの町が生まれた場所であるカストロの丘からは、街と入り江を一望することができます。紀元前 2 世紀から紀元後 3 世紀までに作られたの集落 (カストロ) の跡も残っており、ビーゴ近郊のサンタ・テクラ遺跡と併せて先史時代のガリシアの歴史に触れることができます。
リアス式海岸北部、ガリシア第二の人口を誇るア・コルーニャは、大西洋に突き出た半島に位置する港湾都市です。その突端には世界遺産に登録されるヘラクレスの塔が街を見守るように建っています。街中心部のマリア・ピタ広場周辺には、市場やバル通り、ブティックが集ま、賑わいを見せます。街を囲むプロムナードを歩けば、ガラスのバルコニーが美しい伝統家屋や要塞跡、美しい砂浜を眺めながらのんびりと散歩を楽しむことができます。散策に疲れたら、ア・コルーニャが誇る地ビール「エストレージャ・ガリシア」を飲みながら海の幸をつまみましょう。
ガリシア内陸部には、ルーゴがあります。世界遺産に登録されるローマ時代の城壁に囲まれた旧市街地が見どころです。酪農が盛んなのどかな風景に溶け込む町は、巡礼者を迎え入れる宿場町としても重要な役割を果たしてきました。巡礼者が必ず訪れる大聖堂には、ガリシア州の旗に描かれる「聖体のパン」が保管されています。品がある石造りの旧市街地はコンパクトで歩きやすいと評判のショッピング街やバル街があります。夜のとばりが降り、オレンジ色の街頭に染まる旧市街では、幻想的な雰囲気の中ではしご酒を楽しむことができます。
見どころ3 海の風景
約 1500 kmの長さを誇るガリシアの海岸線には、多様な風景が調和しています。ルーゴ県北部には、「大聖堂の砂浜」と言う意味をもつプラージャ・デ・ラス・カテドラスがあります。波の浸食により生まれた、大聖堂のような迫力をもつ天然の彫刻です。引き潮時には砂浜まで降りて、アーチを描く岩壁を間近で見ることができます。海岸線を西へ辿ってゆくと、ヨーロッパで最も高い断崖の一つを形成するカペラダ山地があります。海に向かって急降下する切り立った岩壁は高いところで 612m に達し、ガリシアを代表する景勝地として人気があります。
リアス式海岸北部をたどってゆくと、巡礼路でおなじみの「フィステラ岬」が現れます。サンティアゴから延びる巡礼路は、「死の海岸線」と称される航海が難しい海域を臨むこの岬で完結します。リアス式海岸を南へ、大きな入り江 (リアス) を通りながら進むとビーゴへ辿り着きます。街の沖合には自然の楽園シエス諸島が浮かんでいます。ビーゴ発着の定期船で小一時間、青松と砂浜が美しい島で海水浴やハイキングを楽しむことができます。
見どころ4 聖なる秘境とロマネスク建築
ガリシア内陸部に、ルーゴ県とオウレンセ県を跨ぐように広がるリベイラ・サクラ「聖なる流域」があります。蛇行するミーニョ川とシル川が生み出した峡谷には、12 世紀に建てられたロマネスク建築が点在しています。教会や修道院はシンプルな装飾とユニークな彫刻で飾られ、花崗岩の切り石は雨の多い気候に耐えながら千年に渡りこの土地を見つめてきました。谷の斜面にはブドウ栽培が行われる段々畑が広がっています。この地でローマ時代から続くブドウ栽培は、過酷な自然環境の中であっても手作業のブドウづくりを貫いています。原産地呼称が認められた高品質でコクのある赤ワインが有名です。川岸へ下りると「カタマラン」と呼ばれるリバークルーズ用の小さな船が停泊しています。峡谷を見上げながらの水上散歩もおすすめです。
見どころ5 食
ガリシアといえば、魚介類が有名です。クリスマスやお正月など、スペインの重要なイベントで食卓を飾るのはガリシアのシーフードです。カニやムール貝、牡蠣、ホタテ、ロブスター、高級食材「亀の手」、マテ貝など様々な海の幸がとれます。「ガリシア風タコ」はひと口大の茹でダコに塩、オリーブオイル、パプリカパウダーをかけて食べる郷土料理です。他にも、野菜とソーセージや肉を煮込んだコシード、体が温まるスープ「カルド・ガジェーゴ」、ガリシア牛のステーキ、素揚げがおいしいパドロン村のしし唐、三角形が目印のテティージャ・チーズやクリーミーなアルスア産チーズ、原産地呼称を認められたワインの数々、アーモンド粉を使用したしっとりとした甘みのサンティアゴ・ケーキなど、多様な食文化を楽しむことができます。
見どころ6 ポルトガルと一緒に旅する
ガリシアはポルトガルと国境を接しています。ガリシア最大都市のビーゴから国境まで車で約 30 分、ポルトまでは約 1 時間半の近距離です。ガリシア語とポルトガル語は文法や発音が似ており、歴史的、文化的にも繋がりが強い地域です。国境沿いは車の往来も多く、ガリシアが二国間の玄関口であることがよく分かります。リスボンからサンティアゴへと延びる巡礼路「ポルトガルの道」を辿りながら、2 つの国を訪ね歩くのも良いでしょう。
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