カンタブリア

カンタブリアはスペインの17 自治州の中の一つです。 イベリア半島北部に位置しており、カンタブリア県のみで構成される一州一県の自治州です。北スペインの他の３州とあわせて「グリーンスペイン」と呼ばれる地域でもあります。

カンタブリア海に面する州都サンタンデールは、かつて王室離宮が置かれていたことで有名な港町です。スペイン最大の銀行本店が位置することや、風光明媚なビーチがあることでも知られています。優雅な雰囲気と活気に満ちた街は、避暑地として根強い人気を誇っています。海岸線沿いには他にも、カストロ・ウルディアレスやラレド、ノハ、コミージャス、サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケラなど、美しい港町が点在しています。

州都　サンタンデール

州を内陸へと進むと、険しい山岳部を背景に、緑が輝くなだらかな丘陵地帯が現れます。北スペインで最も美しいと称される村サンティジャーナ・デル・マルや、世界遺産アルタミラ洞窟が見どころです。はるか昔の人類の足跡を辿ることができます。

サンティジャーナ・デル・マル

更に内陸部へ進み、カンタブリア山脈が連なる山間部に足を踏み入れると、八つの渓谷と小村が共存する風景に出会います。高原で草をはむ牛や羊を間近に見ながら、遠くに聳えるカンタブリア山脈の心臓部ピコス・デ・エウロパ山塊へと進むにつれ、谷の幅は狭く、山は標高を増し、山岳地帯へと様変わりします。谷が開けた眼前に現れるのは、リエバナ地方です。小村とロマネスク建築、自然と貴重な生態系の宝庫として、今も昔も、旅人を魅了しています。

ピコス・デ・エウロパ国立公園

カンタブリアの見どころ５選

• 見どころ１　海辺の多様な景観
• 見どころ２　丘陵地帯から山間部へ
• 見どころ３　ピコス・デ・エウロパ国立公園
• 見どころ４　食
• 見どころ５　グリーンスペインを楽しむ

見どころ１　海辺の多様な景観

大西洋に面した 220 kmの沿岸部では、切り立った崖や砂浜、風光明媚な港町が海岸線に豊かな表情を与えています。州都サンタンデールは王侯貴族の避暑地であったことでも知られ、街と海を見渡せる高台にはマグダレーナ宮殿が建っています。全国的に有名なサルディネーロビーチで泳いだり、海岸線沿いをカボ・マジョール灯台まで歩く散策路から綺麗な夕暮れを見たりと、のんびりとした滞在におすすめです。

ガウディ建築があるコミージャスや、キリスト教第四の聖地を目指すレバニエゴ巡礼路の出発地点であるサン・ビセンテ・デ・ラ・バルケラなどの小さな港町を散策するのも良いでしょう。アンチョビの生産地として有名なサントーニャ村では、切り立った崖に位置する、スペインで最も美しいと言われるカバージョ灯台へのハイキングが人気です。

ガウディ建築　エル・カプリッチョ

サン・ビセンテ・デ・ラ・バルケラ

カストロ・ウルディアレス

見どころ２　丘陵地帯から山間部へ

州都サンタンデールから内陸へ、車で 30 分ほど進むと、カバルセノ自然公園が現れます。昔は鉱山として使われていた公園の一角には動物公園が設置され、大自然の中で動物がのびのびと暮らす様子を間近で見ることができます。広大な敷地内は車やロープウェイで移動することができ、ロープウェイの展望台から見えるカンタブリア山脈の山並みもおすすめです

海岸線にほど近い内陸部には、北スペインで最も美しい村とも言われるサンティジャーナ・デル・マルがあります。中世の町並みが残る歴史地区やロマネスク建築を訪問することができます。村の近くには、世界遺産アルタミラ洞窟があり、旧石器時代の大規模な洞窟壁画の実寸大レプリカを間近で観ることができます。

更に内陸へ進むと、パシエゴス渓谷群の村々や、歴史文化遺産に登録されるカルモナ村、エブロ川の源流があるカンポ―渓谷群など、緑豊かな渓谷と村の風景が残っています。

サンティジャーナ・デル・マル

アルタミラ洞窟博物館

カンタブリア山脈の山間にある小さな村

見どころ３　ピコス・デ・エウロパ国立公園

カンタブリア州の内陸西部には山岳地帯が広がっています。州最高峰のトーレ・ブランカ (2619m) が位置するピコス・デ・エウロパ国立公園は、カンタブリア県、アストゥリアス県、レオン県の 3 県にまたがる北スペインの屋根です。カンタブリア側でのお勧めアクティビティは、フエンテ・デ村から発着するロープウェイです。山頂まで一気に登り、トレッキングを始めることもできますし、眺めを楽しんだり、カフェテリアでゆっくり過ごすこともできます。

国立公園と隣接するリエバナ地方はポテス村やロマネスク建築群、キリスト教第四の聖地であるサント・トリビオ修道院、オークやブナの森など、固有の文化と景観が残る貴重な地域です。

ポテス

カンタブリア山脈の小さな村

フエンテ・デのロープウェイ

見どころ４　食

カンタブリアの豊かな自然は、新鮮な食材にもよく表れています。原産地呼称が認められた数々のチーズや、ぶどうの搾りかすから作る蒸留酒オルッホ、高品質な牛肉やソーセージは、この地域を代表する山の幸です。

沿岸部では、海の幸を長く、美味しく食べられる保存食が発達しました。スペイン国内で 80% のシェアを占めるカンタブリア産のアンチョビを筆頭に、白ガツオやビンナガマグロ、イワシが、脂がのった旬の時期に水揚げされ、保存食として全国各地へ届けられます。

これらの食材は、バルでひと口サイズのタパスとして気軽に楽しむことができます。レストランや食堂では、郷土料理に舌鼓を打ちましょう。前菜にイカの「げそ揚げ」をつまみながら、メイン料理を選びましょう。アサリのマリネ風、赤インゲンの煮込み、イワシの土鍋、リエバナ風コシード (煮込み)、白カツオの土鍋煮込み、グリーンソースをかけたメルルーサなど、目移りするほどのバリエーションがあります。チーズケーキのようなお菓子「ケサーダ」や、優しい甘さのパウンドケーキ「ソバオ」をデザートに注文すれば、カンタブリアをまるごと味わうことができます。

地元産チーズと蒸留酒オルッホ

カンタブリアといえばアンチョビ

カンタブリア産アンチョビ

見どころ５　グリーンスペインを楽しむ

カンタブリア州を含めた、バスク州、アストゥリアス州、ガリシア州の 4 州をまとめて「グリーンスペイン」と呼びます。スペインの他の地域に比べ降水量が多く、緑豊かな自然が広がっているため、このような呼び名が付きました。グリーンスペインを楽しむ方法は様々です。大西洋の海岸線を聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへと延びるサンティアゴ巡礼路「北の道」を歩けば、風景や郷土料理とともにじっくりと北スペインを知ることができます。バスや列車の利便性が高い州都巡りも良いでしょう。豪華 5 つ星寝台列車エル・トランスカンタブリコに乗って 4 州を快適かつ効率よく巡ることもできます。

カンタブリア海

カンタブリア山脈

アストゥリアスのプレロマネスク建築

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