代表あいさつ

代表あいさつ

enDESTINO代表 マリア・スーシン・シラック

アラゴン州ウエスカ市出身
2012 年、ウエスカ市に旅行会社エン・デスティーノを立ち上げる。
国内・海外旅行の企画・実施を手掛ける傍ら、ウエスカ市の観光事業に携わる。
2014 年より日本との取引を始め、北スペインの旅づくりを提案している。
2019 年、バルセロナ自治大学の「東洋アジアの文化とビジネス」マスターコースを修了。
著書『ピレネー山麓の美しき村』(2022年7月)

小さな町の旅行会社

私たちの会社は、アラゴン州ウエスカ県の県都であるウエスカ市にあります。人口は5 万人ほどで、スペインに52 か所ある県庁所在地の中でも下から4 番目にあたる、小さな町です。周辺には畑や小川、フランスとの国境を成すピレネー山脈からなる美しい自然が広がっています。マドリッドやバルセロナなどの大都市と比べると、静かでのんびりとした「田舎」です。

ピレネーから流れる川は、渓谷や草原、林を潤し、牧歌的な風景をつくり出しています。空を見上げると背の高い山が気持ちよさそうに悠然と聳えています。春には雪解け水がたっぷりと溜まった湖、初夏には高山植物、秋にはブナ林の黄葉、冬には雪景色が楽しめるピレネーは、スペインを代表する自然の宝庫です。

山麓には、オリーブやサクランボ、アーモンド、ブドウの畑が広がっています。小さな村や古城、ロマネスク建築と織り交ざり、ここにしかない風景が生まれています。

地域住民との距離も近く、町に暮らす人びとの顔が見えます。日本のガイドブックでは取り上げられることの少ない、いわば「未知」の世界ですが、実際に訪れると多様な文化遺産と自然遺産に驚くことでしょう。

エン・デスティーノの使命は、スペインに「隠れている」ウエスカのような「田舎」を舞台に、《3 つの旅づくり》を大切にしながら、旅を提案することです。

《3つの旅づくり》

  • 旅行者の意思が映し出された旅づくり。
  • 地域の自然・文化・生活に根差した旅づくり。
  • 旅を振り返ったときに、味、匂い、気持ち、人の顔が思い出されるような旅づくり。
北スペインの観光スポットであるピレネー山脈の山上湖
北スペインの観光スポットであるピレネー山中に佇むアインサ
北スペインの観光スポットであるアラゴンのサラゴサ
北スペインの観光スポットであるガリシアのポンテベドラ
北スペインの観光スポットであるカタルーニャのプッチサルダー
北スペインの観光スポットであるカタルーニャ州カダケス
旅のちから

私たちは、旅の可能性を信じています。観光業による経済効果という尺度だけでは計ることができない、旅が秘めている生きることを豊かにする力を信じています。

旅は、日常から抜け出し、外の世界に足を踏み入れ、気づきや学びに巡り合いながら、自分や他人への理解を深める行動です。知らない土地を歩き、そこで暮らす人びとの生活や文化を知り、見たことのない景観に囲まれ、土地の言葉に耳を傾け、普段とは違う時間軸を過ごす体験を通して、外への気づきだけではなく、内への気づきが生まれます。

例えば、初めて日本を訪れたとき、スペインとは全く違う生活習慣や街の景観に驚きました。なぜ日本ではお箸を使って食事をするのか、なぜ家に入る時に靴を脱ぐのか、なぜ布団で眠るのか、なぜ毎日お風呂に入るのか、なぜ高層ビル群とお寺が街の中に共存しているのか、なぜ挨拶をする時にお辞儀をするのか。様々な疑問が湧いてきました。

日本を旅して生まれる疑問は、自文化への問いでもありました。なぜスペインではフォークとナイフを使うのか、なぜ土足で家に入るのか、なぜベッドで眠るのか、なぜ浴槽をあまり使わないのか、なぜ高層ビル群が少なく、数千年、数百年の歴史を誇る建造物が多く残っているのか。日常生活の一コマや都市風景から、考え方や人付き合いの方法まで、様々な違いを見つける度に、自文化への疑問として跳ね返ってきました。外の世界を知ることは、内の世界を知ることと、合わせ鏡のような役割を果たしています。

旅から生まれた疑問を出発点に、「なぜ」を掘り下げると、文化や習慣の根底に積み重なる自然環境や歴史、その土地の哲学に出会います。これこそが、人生を豊かにするヒントだと思うのです。

旅とは、単なる消費活動ではなく、外や内に向かって、気づきや学びを掘り起こす扉であり、生きることを豊かにする文化的行為であるという信念のもと、私たちは旅づくりを提案します。

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